藍染とは

藍染とは


藍染をご存知でしょうか?2020東京オリンピックのエンブレムが発表された時に藍染をという言葉を聞く機会が増えたのではと思います。

藍染とは、たで科の植物である藍の葉を使用した飛鳥時代から伝わる伝統的な手染めの方法です。藍染によって作られる独特な青色は藍色と呼ばれ日本を象徴する色です。2020東京オリンピックのエンブレムにも使われており、海外では「Japan Blue(ジャパンブルー)」という名で知られています。この名の由来は、1875年(明治八年)に来日したイギリス人化学者のロバート・ウィリアム・アトキンソンが当時の日本の町が藍色に彩られている事に触れて自身の著書である「藍の説」でその事を「Japan Blue(ジャパンブルー)」と表現した事とされています。

【藍染とインディゴ染の違い】
藍染は色調が似ているインディゴ染と比べて希少で高価というイメージがあると思います。大きな違いとしては、

藍染: 天然の染料を使った染色、手作業が多く大量生産が出来ない
インディゴ染: 人工の染料を使った染色、機械化されており大量生産が可能

藍染は藍の葉から染料を作る事から始まり染め終わるまでに膨大な時間と熟練した職人の技術が必要となり、属人的であり大量生産が出来ないので、必然的に商品の数が少なくインディゴ染より高い値段設定になります。


藍の色素であるインジゴチンは不溶性の為、他の植物染めと異なり煮るなどの方法で色素を取り出せません。その為、藍士と呼ばれる職人が藍の葉にについている微生物を使い藍の葉を100日間ほど発酵させて「すくも」という染料の元を作ります。それに酒や灰汁などと混ぜてカメの中で建てる(発酵させる事)と染色液が完成します。この液の中で「すくも」が成熟するほど藍色は濃くなりますが、発酵しすぎると腐ってしまうのでバランスの良い染色液を作る為には長年の経験が必要とされます。また、染色自体も多くの場合は職人の丁寧な手作業で時間をかけて染められます。

【藍染の歴史】
藍染は長い時間をかけて日本の伝統となりました。


藍染は700年代に中国から日本に伝わり、着物や地元の衣装を染色する為に使用されました。良い藍染をする為には大量の水が必要だった事から川の近くにある集落で藍染は発展していきました。1500年代には藍染に最適な環境に恵まれていた徳島県では藍染が一大産業となりました。しかし、1900年代初頭に人口染料であるインディゴが日本に伝わり生産性に欠ける藍染は低迷していきました。その後、第二次世界大戦時には政府の指令により、藍を栽培していた畑を食用植物に変える事を強いられ藍の栽培はほぼ無くなりました。藍染産業も滅亡の一歩を辿っていきましたが、徳島県の職人達が隠れて藍染を続けていたことにより現在まで藍染が継承されてきました。

【藍染の魅力】
藍染は1000年以上日本人に愛されてきました。日本人を魅力し続ける藍染の魅力をご紹介します。


藍染の一番の魅力は藍染でのみ生成可能な独特で鮮やかな青色です。藍染は染める回数により青の濃淡が変わり、「瓶覗(かめのぞき)」、「浅葱(あさぎ)」、「納戸(なんど)」、「藍(あい)」、「褐色(かちいろ)」 といった色が数多くの青色が存在します。また、藍染は化学物質を使わないので肌にも優しく、環境にも配慮された染色方法で、最近注目されているSDGsにも同時に取り組めます。その他、虫除け効果、夏は通気性が良く涼しい、冬は熱を保ち暖かいといった効果もありますので、見て良し、着て良し、エコにも良いものと言えます。

【藍染の染色プロセス】
藍染は藍の葉を長い時間をかけて発酵させ「すくも」を作り、それを建てる事により染色液が完成します。その後の染色作業も機械ではなく職人が手作業で少量づつ丁寧に染めていく為時間のかかるプロセスです。Tシャツを例に取って藍染の染色プロセスのご紹介をします。


最初のステップとして、藍染はすくもや染色液を作るのにも時間が掛かりますが、実際の染色作業も機械ではなく職人が手作業で少量づつ染めていく為染め上がるまでに時間を有します。Tシャツを例に取って藍染の染色プロセスのご紹介をします。

最初のステップとして、を生地に付着したタンパク質を取り除くためによく水洗いをします。


次にTシャツを藍の染色液に浸し、染色液を良く揉み込みます。


染色液から取り出すと最初は濃い緑色に見えますがこれは藍の葉の緑です。生地に染み込んだ余分な染色液を絞り出すと染料が酸化し、美しい青色に変化します。このプロセスが繰り返される回数が多いほど、青の色相が強くなります。


下のTシャツを1〜4回染めました。これらの愛の色は、左: 浅葱(あさぎ)、中央左: 納戸(なんど)、中央右: 褐色(かちいろ)、右: 紫紺(しこん)と呼ばれていました。


目指す青が得られたら、酢でアルカリ化して色を落ち着かせます。
最後に良くすすいで脱水し日陰で1日乾燥させます。

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