経年変化を楽しむジャパンブルーのベースボールキャップ&Tシャツ
藍染、柿渋染、泥染など日本各地には様々な衣類の染色文化があることをご存じでしょうか?
私たちSOME-ISMが世界に広げていきたい技術です。
今回はそれらの日本の染めをより身近に感じて頂く為に、通年かぶれる定番のベースボールキャップを藍染する試みをしました。
ジーンズのように経年変化が楽しめ、街中でもアウトドアでもオシャレにコーディネートできるキャップを作ることができました。
藍染とは、たで科の植物である藍の葉を使用した、日本には飛鳥時代に伝わったとされている1000年以上も歴史のある手染めの方法です。
藍染によって作られる独特な青色は藍色と呼ばれ日本を象徴する色です。
海外では「Japan Blue(ジャパンブルー)」という名で知られています。
藍染には多彩な青があります。染める回数により青の濃淡が変わり、数多くの青色を表現できます。
今回は染色回数が多く、手間のかかる濃い藍染の「褐色(かちいろ)」 という色に仕上げました。
藍染は機能性を併せ持つ染料と言われており、抗菌・消臭効果、防虫効果が高く藍染の衣料には収納時、服に虫が寄ってこなかったと体験的に伝承されています。
※藍染の一般的な特徴であり本製品での試験は行っていません。
NEWHATTAN製のコットン100%の白いキャップの背面に私達のブランドであるSOME-ISMのロゴ刺繍を入れて、最も濃い青の一つである褐色(かちいろ)に仕上げました。
染色液に浸し、染色液を良く揉み込むという作業を4回以上繰り返す手間を掛けてようやく出来上がる色です。
温度や湿度によって染まり具合が違うので、その日によって回数を変え職人の経験によって褐色(かちいろ)にしていきます。
特にツバが染まりにくく、他の箇所が褐色(かちいろ)まで染まった後、ツバが同じ色になるまで工程を続けます。
この色を出すのに何度もサンプルを作ってもらいました。
キャップは染めにくくムラにもなりやすいので、職人さんに何度もお願いしご迷惑をお掛けしてましたが、納得のいく色に仕上がりました。
洗濯を繰り返していくうちに藍染のアクが抜け、藍染特有の鮮やかな色味が増していきます。
縫い糸の色が落ちていく設計にしており、世界に二つとない自分だけのキャップになっていきます。
使って洗っていくうちに縫い糸が白くなり、本体は藍染特有の鮮やかな色味が増していき、藍染独特の雰囲気が出てきます。
3ヶ月の経年変化の様子です。
青が全体的に明るくなり、白い縫い糸が目立ってきてヴィンテージのような見た目になっていく工程を楽しめます。
帽子のサイズは浅めで、高さ11cm ツバの最長7cm。
キャップはアジャスター付きのフリーサイズ。
ユニセックスなデザインなので男性でも女性でも被れます。
ツバが少しカーブしたデザインです。
お好みでツバを平らにするとストリート感が出せます。
キャップはご自宅で洗濯できます。
藍染の性質上、初めのうちは色移りしますので、他のものと分けて洗濯してください。2〜3回洗濯機で洗って頂くと色落ちしにくくなります。
今回は藍染ベースボールキャップと同じ染色液で染めたTシャツもご用意しました。
こちらもユニセックスです。
Tシャツは創業80年を超える東京の老舗工場で生産した、脇に縫い目のない「丸胴」ボディーを採用したコットン100%のメイドインジャパンTシャツです。
また、袖口や裾はヴィンテージのTシャツにも見られる「天地引き」を採用しました。拘りのつまったTシャツをベースボールキャップと同様に職人によって1点1点丁寧に藍染しています。手染の為、色や柄の出方が1点1点異なりますので、手染の温かみをお楽しみ下さい。
※手作業での染色・洗濯を行っているので、縮率に個体差があります。1~2センチの違いが出る事があります。
藍染と同じ青系の色に染め上がるインディゴ染の違いをご存じでしょうか?
藍染は天然の染料を使った染色であり、染め上げる為に膨大な時間と熟練した職人の技術が必要となり、大量生産が出来ないという特徴があります。
一方、インディゴ染は人工の染料を使った染色であり、機械化されているので大量生産が可能という特徴があります。
よって、藍染は必然的にインディゴ染めより製品の数が少なくなり、希少性の高いものになります。
藍染ジーンズがインディゴジーンズの2倍程の値段になるのもこの理由です。
藍染は飛鳥時代(700年代)に中国から日本に伝わり、着物や地元の衣装を染色する為に使用されました。
良い藍染をする為には大量の水が必要だった事から川の近くにある集落で藍染は発展していきました。1500年代には藍染に最適な環境に恵まれていた徳島県では藍染が一大産業となりました。
しかし、1900年代初頭に人口染料であるインディゴが日本に伝わり生産性に欠ける藍染は低迷していきました。
その後、第二次世界大戦時には政府の指令により、藍を栽培していた畑を食用植物に変える事を強いられてしまい、藍の栽培はほぼ無くなりました。
藍染産業も滅亡の一歩を辿っていきましたが、徳島県の職人達が隠れて藍染を続けていたことにより現在まで藍染が継承されてきました。
滅亡の危機を乗り越えた藍染ですが、近年のアパレル大量生産・大量消費の流れに揉まれ、また職人不足により、残念ながら藍染産業は衰退の一途を辿っています。
飛鳥時代から1000年以上継承されてきた藍染ですが、産業に関わる人材の高齢化が進み、新しいものが生まれにくい環境になっています。
モノとしては良いが、デザインが微妙…という藍染製品も多くある事も事実です。
藍染産業を盛り上げる為には、今までの藍染ファンに加え、藍染を知らない消費者にも商品を手に取って頂き、藍染の良さを知って頂く事が必要だと私達は考えています。
私達は日本と世界のファッション産業で培った知識と経験を活かして、様々なお客様に「カッコいい!」「着てみたい!」と思って頂ける製品を作る事を始めました。
その第一弾として、本プロジェクトを始動致しました。
本プロジェクトを支える職人について
ベースボールキャップは浅草にある和なり屋に依頼して染めて頂きました。
和なり屋は2012年に衰退の一途を辿る藍染産業を盛り上げるべく創業されました。
和なり屋では藍染ワークショップも実施しており、多くの藍染ファンや外国人観光客が集っています。
私達と同じ志をもった和なり屋にお願いをして本プロジェクトが始動しました。
ジャパンブルーのベースボールキャップが出来るまでのプロセス
「瓶覗(かめのぞき)」、「浅葱(あさぎ)」、「納戸(なんど)」、「藍(あい)」、「褐色(かちいろ)」など、藍染の色は合計48種類もあります。
手間がかかりますが、オールシーズンでコーディネートしやすく、さらに経年変化を楽しめる褐色(かちいろ)を採用しました。
藍染は藍の葉を長い時間をかけて発酵させ「すくも」を作り、それを立てる事により染色液が完成します。
染色作業も機械ではなく職人が手作業で少量づつ丁寧に染めていく為時間のかかるプロセスです。本プロジェクトのベースボールキャップの染色工程をご紹介致します。
1.生地に付着したタンパク質を取り除くためによく水洗いをします。
2.キャップを藍の染色液に浸します。
3.染色液が糸の中まで染み込む様にしっかり揉み込みます。
4.染色液から取り出すと最初は濃い緑色に見えますがこれは藍の葉の緑です。生地に染み込んだ余分な染色液を絞り出すと染料が酸化し、美しい青色に変化します。このプロセスが繰り返される回数が多いほど、青の色相が強くなります。
本プロジェクトのベースボールキャップは4回以上染め、 褐色(かちいろ)という藍色より濃い色合いを作りました。
5.目指す青が得られたら、酢でアルカリ化して色を落ち着かせます。
最後に良く濯いと脱水をして日陰で1日乾燥させます。
今回は藍染の製品を紹介しましたが、京都には柿渋染、奄美大島には泥染など日本各地には様々な衣類の染色文化があります。
それらの染色技術は植物などの天然素材を使って染める為、自然な色合いが特徴で長年日本人に愛されています。
しかし現在私たちが毎日身につけている衣類の99.99%は合成染料で染められています。
1800年代後半からの衣類染料の化学化が進み、大量生産・大量消費の時代になり環境への負荷が非常に大きくなりました。
その結果、国連貿易開発会議ではファッション産業は環境汚染産業の世界2位に位置付けられました。また、生産の効率化を求めた事により、伝統的な日本の染色技術への需要は激減しました。
少子化による染色産業の労働力の減少も重なり、日本の伝統的な染色文化は衰退の一途を辿っています。
私たちは、様々な染色業界の職人に会う事で、職人の熟練された手作業によって表現される繊細な色の美しさ、天然の染色で得られる製品の効能、技術に対する職人の情熱を目の当たりにしました。
同時にその文化やビジネスが置かれている厳しい状況を知りました。
この素晴らしい文化・技術を後世に残すお手伝いが出来ないか考えた結果、職人が苦手としているオンラインマーケティングやECの手助けが出来るのではないかと考え、職人とお客さんを結ぶ「染めのプラットフォーム」を作り始めました。
このプラットフォームを通して、日本のみではなく世界中の人に日本の染め文化を知ってもらいたいと考え、このプロジェクトを英語名で「SOME-ISM(ソメイズム)」、SOME=そめ=染め、ISM=イズム=主義、と名付けました。
Q. 商品毎に色ムラはありますか?
A. 手作業で染めいているため、商品毎に若干の色ムラがでる可能性があります。
Q. 洗濯すると色は落ちますか?
A. 始めは色落ちする可能性がありますが、藍染独特の経年変化をお楽しみください。
Q. 天然素材で染める、藍染の効果はありますか?
A. 抗菌・消臭効果、防虫効果が高く藍染の衣料には虫食いが認められず保存状態が良いことが体験的に伝承されています。
※藍染の一般的な特徴であり本製品での試験は行っていません。