京都の深黒。伝統工芸の京黒紋付染のTシャツ
黒紋付染、藍染、柿渋染など日本各地には様々な衣類の染色文化がある事をご存じでしょうか?
私たちSOME-ISMが世界に広げていきたい技術です。
今回はそれらを知ってもらう為に通年着れる定番のTシャツ、コットンニットキャップ、ベースボールキャップに京黒紋付染を施しました。伝統的で深い気品ある上質な黒色でありながら*水に強くシルクのような肌触りのアイテムを作りました。
*加工による生地の特徴であり、本製品での試験等は行っておりません。
青を求めたマクアケプロジェクト第一弾では藍染を成功させ、第二弾では定番の黒に挑戦したく、何人もの職人の元に赴きいくつもの試作を繰り返し作りました。その努力が実り、ようやく納得できる黒に出会いました。
京黒紋付染とは、10世紀頃から歴史があり17世紀頃に確立された技術で、結婚式などのお祝い事に着用する黒留袖や、葬儀の際に着用する喪服を黒く染める絹の染色技術と、家紋描きの技術を総称したもので、主に京都府京都市で生産されています。
深みがあり、気品ある上質な黒色が特徴です。
京黒紋付染は、染め物に適した京都の地下水と、極上の黒を追求してやまない職人たちの染色技術により現在まで発展を遂げてきた、日本が誇る伝統的工芸品のひとつなのです。京黒紋付染は1979年から経済産業省指定伝統的工芸品に指定されています。
冠婚葬祭の他、歌舞伎、能、祇園の芸妓、大相撲等伝統芸能の衣装、宝塚卒業式などにおいて第一礼装として着用されています。
本プロジェクトでは、Tシャツ、コットンニットキャップ、ベースボールキャップを京黒紋付染においてのパイオニア、株式会社京都紋付に染色を依頼しました。
京黒紋付染の長い歴史の中で独自に開発した「深黒加工(しんくろかこう)」という特別な技術で仕上げた特別な京黒紋付染です。
染めたTシャツは創業80年を超える東京の老舗工場で生産した、脇に縫い目のない「丸胴」ボディーを採用したコットン100%のメイドインジャパンのTシャツです。また、袖口や裾はヴィンテージのTシャツにも見られる「天地引き」を採用しました。
ニットキャップもNEWHATTAN製のコットン100%のボディーを使用し、オールシーズン被れるニットキャップです。
ベースボールキャップはNEWHATTAN製のコットン100%でキャップの背面に私達のブランドであるSOME-ISMのロゴ刺繍を入れました。
帽子のサイズは浅めで、高さ11cm ツバの最長7cm。
キャップはアジャスター付きのフリーサイズ。
これらの商品を一度黒に染色した上で、「深黒加工」を施し、天日干しで一点一点乾かすことによって、黒さをより一層際立たせます。
「深黒加工」とは、繊維に特別な染料を付着させることにより、光の反射を抑え、光を吸収させる事により、黒を際立たせる技術です。
また「深黒加工」は、黒を美しく仕上げると共に*水に強くシルクのような肌触りを持たせることができます。
*加工による生地の特徴であり、本製品での試験等は行っておりません。
さらに株式会社京都紋付の染色は安全性にも力を入れています。
実は紋付染でよく用いられるアゾ染料という染料は、家庭用品規制法で和服以外の衣服には使用を規制されています。
株式会社京都紋付は、20年前に安全性を求めアゾ染料を使わない「反応染め」に切り替えて独自の黒を完成させました。
アゾ染料の代わりに反応染料をつかっているので、色落ちに強く黒色が落ちにくくなっています。
京黒紋付染は、染め物に適した京都の地下水と、極上の黒を追求してやまない職人たちの染色技術により現在まで発展を遂げてきた、日本が誇る染色技術のひとつで、1979年より経済産業省指定伝統的工芸品に指定されています。
黒染の歴史は10世紀頃まで遡り、17世紀頃の江戸時代に黒紋付染として確立したとされています。当時は、僧侶の法服や、武家の紋服として用いられていました。
明治に入って現在のように冠婚葬祭の際に着用する礼服の黒紋付羽織袴として需要が増加してきました。
現在でも結婚式などのお祝い事に着用する黒留袖や、葬儀の際に着用する喪服、古典芸能である歌舞伎、能、祇園の芸妓、大相撲等伝統芸能の衣装などにおいて第一礼装として着用されています。
日本の着物全体のマーケットは1975年約2兆円ありましたが、現在は約2000億円まで下がっています。京黒紋付のマーケットも例外ではなく、年間300万反から5000反以下に下がっております。
黒紋付の組合員は、最盛期では100事業所以上ありましたが、現在では3事業者のみになっていて、2022年3月に組合は解散しております。
伝統産業である黒染業界が崩壊寸前の状況です。
京黒紋付染を盛り上げる為には、今までの着物ファンに加え、京黒紋付染を知らない消費者にも商品を手に取って頂き、京黒紋付染の良さを知って頂く事が私達は必要だと考えています。
「伝統産業の技術を現代の生活スタイルに合うように進化させていかなければ、伝統産業は継承できない」という京都紋付のビジョンに共感しました。
私達は日本と世界のファッション産業で培った知識と経験を活かして、様々なお客様に「カッコいい!」「着てみたい!」と思って頂ける製品を作る事でこの現状を変えたいと思っています。
本プロジェクトでは京都の老舗、株式会社京都紋付社長の荒川さんに依頼して染めて頂きました。
京都紋付は1915年の創業以来、黒色専門の染屋として、「より黒く、美しく、色落ちしない黒」を追求してきました。
同社は、染めるのに非常に難しいシルクの紋付を長年染め上げてきた技術を生かして、綿、麻、ウールなどの天然繊維に深黒加工という独自の技術を用い、今迄の洋装には無い、深い色合いの黒染めを実現しました。
その結果、「京都紋付」社独自の技術「深黒加工」の開発に成功します。
荒川さん含め京都紋付の職人は現状の品質に満足せず、伝統の継承と現代のニーズにあわせて染技術をアップデートしていっています。
私達と同じ志をもった荒川さんにお願いをして本プロジェクトが始動されました。
1.独自に開発した染料と水を良くかき混ぜて染色液を作ります。
2.染まり易くするための、助剤を染色機の中に入れて混ぜ合わせます。
助剤は害の無いものを使用しています。
3.染める衣服と染料を染色機に入れて混ぜ合わせます。
助剤と染料が科学反応を起こし、衣服に色が染まりやすくなります。また染色の後に行う 「深黒加工」の副次的効果により衣服がシルクのような柔らかい優しい肌触りになります。
4.染色後に水洗いと石鹸でソーピングを繰り返します。
5.脱水した後に、天日干しをして乾燥させます。
6.次に黒さを際立たせるための、「京都紋付」社独自の技術「深黒加工」を施します。「深黒加工」は繊維に特別な染料を付着させることにより、光の反射を抑え(光を吸収する事により)、黒を際立たせます。反射を抑え、光を吸収させる事により、どこにも負けない京都紋付社独自の「深黒」を実現させています。
7.「深黒加工」後、改めて天日干しで乾燥させます。乾燥期間にもよりますが、職人により全行程で約2週間かけて、染め上げています。
今回は京紋付染の製品を紹介しましたが、その他京都には柿渋染、奄美大島には泥染など日本各地には様々な衣類の染色文化があります。
それらの染色技術は歴史が古いものが多く、長年日本人に愛されています。
私たちは、様々な染色業界の職人に会う事で、職人の熟練された手作業によって表現される繊細な色の美しさ、染色で得られる製品の効能、技術に対する職人の情熱を目の当たりにしました。
同時にその文化やビジネスが置かれている厳しい状況を知りました。
この素晴らしい文化・技術を後世に残すお手伝いが出来ないか考えた結果、職人が苦手としているオンラインマーケティングやECの手助けが出来るのではないかと考え、職人とお客さんを結ぶ「染めのプラットフォーム」を作りを始めました。このプラットフォームを通して、日本のみではなく世界中の人に日本の染め文化を知ってもらいたいと考え、このプロジェクトを英語名で「SOME-ISM(ソメイズム)」、SOME=そめ=染め、ISM=イズム=主義、と名付けました。
私達のメンバーは、日本のアパレル産業、海外アパレル産業、IT業界と様々な知識と経験を持っており、この知識と経験を活用して、日本の伝統的な染め文化を世界に発信したいと考えております。
私達の活動を応援して頂けたら幸いです。
Q.洗濯は他の衣服とわけた方が良いですか?
A.初回のみ、他の衣服とはわけて洗濯をしてください。